不動産屋の気になるNEWS! 2022年4月号 『路線価による資産評価否定』⁉ Vol.2 | センチュリー21グローバルホーム


  • 不動産屋の気になるNEWS! 2022年4月号 『路線価による資産評価否定』⁉ Vol.2









    『路線価による資産評価否定』⁉ Vol.1はこちら


    どのような問題だったのか?


     問題となった不動産は被相続人である不動産会社代表だった北海道の90代男性が2009年に東京都杉並区と神奈川県川崎市に購入した2棟のマンションとその敷地で、銀行から融資を受けて合計13億8700万円で購入したものです。
     今回の上告人は2012年に被相続人から相続した相続人たちで、このマンション2棟を路線価に基づいて算定し不動産評価額を約3億3000万円とした上で、銀行からの借入金などを差引き、相続税額について「ゼロ円」と申告したのでした。
     これに「待った!」をかけたのが国税庁でした。国税当局では不動産鑑定評価をもとにこの不動産を約12億7000万円と評価し、それに基づき約3億円の追徴課税を課したのです。
    対して原告側はこれを不服として課税処分の取り消しを求めて訴えを起こしたというのが大まかな流れです。





    上告弁論で原告側は「節税の意図があったとしても路線価によらない評価方法を取るべき事情に当たらない」と主張。また路線価と実勢価格の隔たりが是正されていない現状にも触れた上で「狙い撃ち的に特定の相続財産を不動産鑑定評価によって評価するのは不平等であり、恣意的だ」と述べております。
    これに対して国税側は「路線価と実勢価格の間に著しい開きがあり、不動産の客観的な価値に疑いがある」と指摘し、「路線価による評価方法を画一的に適用し形式的な平等を貫くと租税負担の公平を著しく害する事が明らかな特別な事情があった」として適法であると反論しています。

     今回の相続人は相続税をごまかそうとか隠そうとかいう悪意があったわけではないと思いますが、このような相続税対策と税務申告をした際に国税庁や司法がどのように判断するのかという点で、とても重要な判決になると思います。
    相続税や贈与税のあり方は「経済の活性化」「格差の固定化」「資産移転時期の選択に中立的な税制」という観点からも見直しの声が多く上がっていますが、今回問題となった相続税に限らず国は納税の意義や意味をしっかり理解してもらい、また国民は義務の一つである納税を適切に行わなくてはなりません。


     


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