「家を買う」という事Vol.2 | センチュリー21グローバルホーム
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「家を買う」という事Vol.2
~賃貸か?購入か?①~
不動産の仕事をしているとかなり頻繁に聞かれる質問の一つです。実は突き詰めてしまうと答えは「人それぞれです」が最適解ではないかと思っています。しかし、それでは話が進まないので、オーソドックスな考え方からお話ししていきたいと思います。唐突ではありますが、仮に毎月の家賃が10万円のお部屋に35年間住まわれた場合、その総支払額は4,200万円になります。実際には更新料があったり、途中で少し広いお部屋に引っ越されたり、普通に考えればもう少し費用は上がるケースの方が多いものですが、あくまで例え話としてお付き合いください。この4,200万円ですが、当然家賃ですから1円も返ってくることはありません。対して購入の場合をシュミレーションしてみます。月々の支払いが同じ10万円程度になるローンを想定してみますと、3,000万円の物件を金利2%、35年ローンで購入した場合、月々の支払は10万円弱、35年間の総支払額は約4,174万円となります。さて、後者は不動産を購入していますから35年経った時点で、手元には不動産が残っています。もちろん、年数を経て劣化はしているでしょうから購入時点程の価値は残っていない可能性が高いでしょう。
しかし、仮に価値が半分になってしまったとしても、1,500万円相当の資産が残っていることになります。資産が「0」か「1,500」か、どちらが良いでしょうか・・・?と、ここまでが最も一般的な不動産屋さんの営業トークです。単純にここまでの計算だけをみれば購入しない理由が見つかりません。
しかし、賃貸も「状況に応じた住み替えが簡単」であったり、「購入に比べ中心部の一等地に暮らすハードルが低い」など、メリットもたくさんあります。若くライフスタイルが流動的な間は賃貸のメリットも大変魅力的なものなのです。冒頭で「人それぞれ」と書かせて頂いたのはその為で、実は私自身、賃貸のメリットのほうが大きく感じる間は賃貸で良いと考えています。ただ、「将来にわたってずっと賃貸」というのはそれなりにリスクがありますし、「購入することのメリット」はこのほかにもいくつか挙げることができます。
~賃貸か?購入か?②賃貸のリスク~
「将来にわたってずっと賃貸というのはそれなりにリスクがある」と書かせて頂きました。
まず結論から申し上げますと、「費用面の不安」と「借りにくさ」という2点が最も大きなリスクであると考えられるのですが、一つずつ解説をさせて頂きます。
1.「費用面の不安」
ライフスタイルに流動性が強い間は、賃貸は非常に心強いもので有効に活用すべきであると思います。
しかし、年を経ていったとき、購入した場合はローン完済後については修繕費・管理費・税金等の維持費用は掛かりますが、それ以外の住居費は原則掛からなくなります。賃貸の場合はずっと家賃が掛かり続けるという点において、大きな差が生まれます。「ずっと賃貸でいい」という選択は言い換えれば「ずっと家賃を払い続ける」と言う選択にもなるということです。賃貸に住み続ける場合、年数にもよりますが追々には持ち家よりも多くの支払いが必要となっていく可能性があること、それに耐えうる収入や貯蓄が必要となることを念頭に置いておく必要性があるのです。老後の収入となると筆頭に挙がるのは年金です。
しかし年金は随時制度が見直されています。将来的には利便性の確保できるエリアの家賃を、年金だけで賄うことは難しくなっていくかもしれません。「賃貸が悪い」と言いたいのでは無く、「賃貸は購入よりも老後の住居費が嵩む可能性が高い」というリスクを正しく把握した上で選択をすることが重要です。
2.「借りにくさ」
何となくご存じの方もいらっしゃるかと思うのですが、賃貸はご高齢になればなるほど借りにくくなっていきます。ずっと同じお部屋に住み続けるのであればあまり問題はありませんが、何かの理由で転居しなければならなくなった時、苦労を強いられるかもしれません。不動産屋の立場からは少し申し上げにくいのですが、新たにお部屋を借りようとした場合に行われる「入居審査」において「ご高齢の方」はどうしても不利です。審査では基本的に「毎月の家賃を確実に頂けるか」を重要視する為、年収の金額や安定性等を考慮しており、既にお勤めでなかったり、収入が年金のみといった場合は審査としては厳しくならざるを得ない為です。また、収入が全く問題ない方であっても、年齢を理由としてオーナーさんから入居を拒否されるケースもあります。これは、万が一室内で亡くなられてしまわれた場合、そのお部屋が貸しにくくなってしまうことを恐れている為です。
以上のような理由から、将来的には賃貸のお部屋が借りにくくなり、ご自身のご希望に沿ったお部屋選びは困難になってしまう可能性が高いことも賃貸特有のリスクであると言えます。