不動産コラム「家を売るという事」Vol.33①「仲介会社自身が買取をする場合」②「仲介会社と買取業者が別の場合」 | センチュリー21グローバルホーム


  • 不動産コラム「家を売るという事」Vol.33①「仲介会社自身が買取をする場合」②「仲介会社と買取業者が別の場合」





    【仲介会社自身が買取をする場合】
    仲介と買取は密接に関係しています。
    今回は、仲介会社自身が買取をする場合の具体例を紹介します。
    売主:A さん (大手企業勤務の35歳、妻と4歳の子供の3人家族)
    ご売却事情:転勤を機にマンションを売却。
    所有物件:新築で10年前に4,750 万円で購入 頭金 750 万円、ローン 4000 万円
    エリア:近年新築供給が少なく、程度の良い中古マンション。
    価格が下がっていない物件もある。Aさんの部屋は4,500万円で売れる可能性もある。
    売却希望額:4,000万円程度で売れれば引っ越し先の費用も捻出できるため、
    Aさんはその金額を下限として考えていた。
    Aさんは、ある仲介会社(B社)に査定を依頼しました。
    B社は「早めに売却したほうがいい」とAさんに提案し、
    Aさんは最低希望価格の4,000万円で売却を進めるようB社に頼みました。
    しかし、前述の通り、本来、不動産会社が頑張って売却活動すれば、
    4,500万円で売却できる可能性もある部屋です。
    ここで、B社が4,500万円で購入してくれるお客さん(Cさん)をすでにもっていたとしましょう。
    Aさんの希望額は4,000万円ですから、B社はCさんに4,000万円ですぐ売却することが可能です。
    ですが、B社が自社で4,000万円で買取、Cさんに4,500万円で売却するとどうなるでしょう?
    B社の利益は、「4,500万円−4,000万円=500万円」となります。
    もしB社が4,000万円でAさんとCさんの仲介をした場合は、AさんとCさん双方から
    「4,000万円×3%+6万円」ですから、252万円になります(ここではB社の諸経費等は考慮しません)。
    いかがでしょう?
    B社の約社の約2倍も変わるのです。
    B社が仲介をしながら買取もする会社であれば、営利企業ですから当然利益を追求して
    500万円のほうを選ぶでしょう。
    B社の担当者も業績に応じたボーナスがあるとしたら、なおさらです。
    このように、買取は仲介会社にとって大きな利益となり得るのです。
    つまり、仲介会社が買取する場合、売り手と買い手の両方(つまり消費者)と利益が相反するわけです。
    今回のケースは仲介会社と買取業者が同一会社のケースです。
    次回はそれぞれ別会社の場合、どんなことが起こるかをご説明したいと思います。

    【仲介会社と買取業者が別の場合】
    前回お話した通り、仲介会社が買取業者を兼ねている場合、転売利益が仲介報酬を上回るなら、
    Aさんの例のように買取をして価格差で稼ごうとすることが起こり得ます。
    では、買取と仲介が別会社で、仲介会社が買取をしない場合、消費者は不利益をこうむらないのかといえば、
    そうではありません。
    実はこの場合も、消費者にとって不利益が生じかねません。
    買取業者は、買って売らないと利益が出ないため、まずは物件を買わなくてはいけません。
    買うためには、情報を握っている仲介会社に営業するのが一番早い方法です。
    一方、仲介会社は手っ取り早く両手仲介をしたいのですから、すぐに買ってくれる買取業者はよい顧客となります。
    しかも、先述したように買取業者は現在乱立していてライバルが多く、なかなか購入できない状況が続いています。
    ですから、物件を買うためには、買取業者も仲介会社が自社に紹介してくれるよう、「インセンティブ」を与えなくてはいけません。
    インセンティブは「自社で転売する物件の販売を委託する」といった方法がよく行われています。
    その場合、仲介会社には「買取業者に売却した際に6%」+「買取業者が転売する際に6%」が入ります。
    いずれも両手仲介をした場合ですが、最大で12%もの仲介手数料が入るのです。
    たとえば4,000万円で売却して4,500万円で転売した場合の仲介手数料は、
    240万円+270万円=510万円
    これが仲介会社の利益です。
    「両手仲介をしたい」「転売時にも仲介報酬を得たい」という仲介会社によって、売り手を安く売るように(担当者)が誘導するということが起こり得るのです。
    経済的な観点からみれば、買取に出すという事は、大幅な値下げをして物件を売ることと同じなのです。
    であれば、「買取に出す(=大幅な値下げをする)前に、やるべきことがあるのでは?」といういうことです。
    できる手をすべて打ちつくしても売れない場合は、買取業者に購入を打診することがあります。
    買取業者に打診をするということは、仲介会社も手詰まり感があるわけです。
    それなら、手詰まりを突破できるかもしれない不動産会社を新しく探してみるという手もあるのです。
    手詰まり感を感じる前に、仲介会社にできることはいっぱいあります。
    そこをチェックしてから買取に出しても遅くはないのです。

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