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不動産屋の気になるNEWS! 「タワマン節税」も終焉!!国税庁マンションの相続税評価見直しへ
「タワマン節税」も終焉‼
国税庁マンションの相続税評価見直しへ
タワマン節税封じ!富裕層の節税対策にメス
8月18日の朝刊に「タワマン節税に見直し」という記事が掲載されました。このマンションの相続税評価の見直しの背景と考えられているのが、令和4年4月19日の最高裁判決により納税者が敗訴となった事案で、財産評価基本通達総則6項の定めによって財産の評価をすることが著しく不適当と認められる財産の価格は国税庁長官の指示を受けて評価するとした、いわゆる「伝家の宝刀」によって路線価等による評価を否認、鑑定評価による更正処分が認められ、相続税を0円として申告した納税者に対し、約3億円の追徴課税が課されたというものであります。これには①被相続人がかなりの高齢で平均余命から見ても借入金額を完済できるものではなく②縁もゆかりもない場所に「相続対策のため」として借入を起こして購入し③相続発生後すぐに売却したなど、「明らかな税金逃れ」と判断された事由が存在していたことや、このような「行き過ぎた節税」を認めると他の納税者と比較して看過し難い不均衡が生じ、実質的な租税負担の公平に反するという判断もあったと思います。
(争点の内容など詳しくは2022年4月のコラムをご参照ください。https://www.globalhome.co.jp/blog/page_697.html)
そんなこともあり、令和5年度の税制改正大綱の中でマンションの相続税評価について、市場での売買価格と通達に基づく相続税評価額とが「大きく乖離しているケース」が見られ、現状を放置すれば、マンションの相続税評価額が「個別に判断される」ことにより、納税者の予見可能性を確保しにくい可能性もあるため、相続税におけるマンションの評価方法については、相続税法の時価主義の下、市場価格との乖離の実態を踏まえ適正化を検討するとしていますが、今後納税者は一体どの評価で申告すれば良いのか?」という指標も曖昧となってしまうため、有識者会議や意見公募手続きなどを経て、「算定ルール」が設けられることになりました。細かな点はまだこれから決定していく部分もあるかと思いますが、令和6年1月1日より施工開始となるマンションの相続税評価について、現時点でどのような「算定ルール」となったのか詳しく見ていきたいと思います。
そもそも相続税等における財産の「時価」とは?
相続税等(相続税・贈与税)における財産の価格は相続税法第22条の規定により、「財産の取得の時における時価による」とされており、これにより国税庁では財産評価基本通達に各種財産の具体的な評価方法を定めています。路線価での評価や固定資産税評価額などはよく知られていると思いますが、基本的に時価とはそれぞれの財産の現況に応じて不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価格としており、この財産評価基本通達通りに評価を行えばその価格は相続税法第22条で定める「時価」であるとしています。
しかし、特にタワマンやビンテージマンションなどはこの財産評価基本通達通りに算出する「時価」と実際に市場で自由に取引される「時価」とが大きく乖離している事が問題となっていました。
マンション相続税の見直し案
現行の相続税評価額を前提とした上で、市場価格との乖離要因から乖離率を予測し、その乖離率を現行の相続税評価額に乗じて評価する方法を採用する、というものです。具体的には「築年数」「総階数」「所在階」「敷地持分狭小度」といった市場価格に影響する4つの指数に基づいて乖離率を算定し、かつ一戸建ての評価とのバランスも踏まえ「評価額を市場価格理論値の60%になるように補正する」ということです。
さすが法律というか、何とも分かりにくい表現ですが、簡単に言うと一般的に売買される価格(市場価格理論値)の60%以下の評価額となる物件については60%になるように評価額を補正しますよ(上げる)という事です。
現状で一戸建てが一般市場で売買される時価と相続税評価額でいう時価との乖離は60%、マンションでは40%と言われていますので、マンションも戸建と同じ60%の乖離水準まで引き上げられるという事になります。ですから、いわゆるタワマンなど一般市場売買価格と相続税評価額の乖離が大きいマンションにとっては影響が大きいという事になりますが、一方で評価水準が市場価格の60%を超えているマンションなどは全く影響がなく、また、評価水準100%超のものは100%となるよう評価を減額する(地方などで相続税評価額を下回らないと売れないような物件)という措置も取るそうなので、今までよりも公平感が増すと言えるのではないでしょうか。
相続税対策や5月のコラムでも書いた贈与税の改正なども踏まえて、今後の対策をどうしていくべきか、また色々と考えていかなくてはならないと思いますが、あの最高裁判決のように国税庁から大幅に評価を更正されるという事もなくなり、明確な基準ができたことは良いのではないでしょうか。