不動産屋の気になるNEWS! 2023年1月号 『追い出し条項に違法判決』 Vol.2 | センチュリー21グローバルホーム


  • 不動産屋の気になるNEWS! 2023年1月号 『追い出し条項に違法判決』 Vol.2









    不動産屋の気になるNEWS! 2023年1月号 『追い出し条項に違法判決』 Vol.1



    無効と判断された理由とは?

     

     条項(ア)については「原契約の解除権を行使できるのは当事者である賃貸人であり、原契約の当事者ではない被上告人(保証会社)がその一存で何らの限定なく原契約につき無催告で解除権を行使できるとするものであるから、賃借人が重大な不利益を被るおそれがある」というものです。
    条項(イ)については「原契約が終了している場合だけでなく、原契約が終了していない場合でも被上告人(保証会社)は建物の明渡しがあったものとみなすことができ、賃借人は本件建物に対する使用収益権が消滅していないのに原契約の当事者でもない被上告人の一存で、その使用収益権が制限されることとなり、賃借人の権利を制限すべきもの」というものです。
     このように今回の最高裁判断は賃借人が建物に対する使用収益権を一方的に制限されることになる上、建物の明渡し義務を負っていないにもかかわらず、法的手段も取らず明渡しと同じ状態に置かれるものであり、著しく不当というものですが、ポイントは賃貸人ではなく、保証会社の一存で契約を解除したり明渡しがあったものとみなすことは是認できないという判断です。







    今後はどうなる??

    今回の判決によっていわゆる「追い出し条項」そのものが違法とされ、今後は賃借人が法的な手続きなく退去させられることが無くなることはとても良い事だとは思いますが、私にはやはり少し気になる事があります。
    それは賃貸住宅の入居審査がより厳しくなり保証を引き受けてもらえなかったり、また保証料が高額になる等、結果的に入居者が不利になってしまう事もあるのではないか?という事です。貸主はもちろん保証会社も、出来るだけ優良な人に借りてもらいたいのが本音です。しかし中には滞納を繰り返して連絡もなく、連絡もつかないなど困った入居者がいる事も事実です。そんな義務を果たしていただけない入居者には「出て行ってもらいたい」と思っても、消費者保護を理由に出せないなら最初から保証をやめようとなる可能性もあり、どちらにも不利益をもたらす事にもなりかねません。そんなことにならない為にもお互い誠意をもって契約の義務を履行する事が何より大切ですし、貸し手も気持ちよく、借り手も安心して暮らせるように我々不動産業者や保証会社も不当な理由で部屋を借りられなくなるなどという事が無いよう、また万一のトラブルには法に則ってしっかりと対応するように務めていかなくてはならないと思います。




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