不動産屋の気になるNEWS! 2023年1月号 『追い出し条項に違法判決』 Vol.1 | センチュリー21グローバルホーム


  • 不動産屋の気になるNEWS! 2023年1月号 『追い出し条項に違法判決』 Vol.1










    家賃保証契約(追い出し条項)を巡る判断とは

     
    賃貸住宅を借りる場合には原則として、賃借人が債務を履行できない等の万が一に備えてその債務を保証してもらえるよう親族等を連帯保証人に立てて賃貸借契約を締結しなければなりませんが、昨今は家族関係の希薄さや高齢化などで連帯保証人を立てられない方も多く、連帯保証人に代わって賃料等の支払いに係る債務を保証してくれる「家賃保証会社」を利用する事が多くなりました。
    これにより連帯保証人を立てられない方でも賃貸住宅への入居が可能となり、貸し手側も個人の連帯保証より安心できるとして、また中には家賃保証会社の利用を必須とする賃貸物件もあるなど保証会社を利用して賃貸住宅へ入居するケースは年々増えており、今や8割程の賃貸借契約に家賃保証会社が利用されているという実態の中で、一部の保証会社による厳しい家賃の取り立てや追い出しなどの問題も指摘されてきました。
    今回の裁判は借主に家賃の滞納等が発生し、家賃を立て替えて支払った家賃保証会社が貸主と借主との間で締結された賃貸借契約を解除することができる等と定めた契約条項が消費者契約法に反するとしてNPO法人「消費者支援機構関西」(大阪府)が家賃保証会社「フォーシーズ」(東京)に対しいわゆる「追い出し条項」の使用差し止めを求めていたもので、二審大阪高裁ではNPO法人が逆転敗訴していたものの、最高裁ではさらに逆転の判断がなされ、2022年12月12日、最終的にフォーシーズの逆転敗訴が決定したものですが、どのような判決であったのかを見ていきたいと思います。



    無効と判断された契約条項とは?

    では今回の最高裁判決で消費者契約法10条に違反して無効と判断された2つの条項を見て行きましょう。
    (ア)「保証会社は、賃借人が支払いを怠った賃料等及び変動費の合計額が賃料3ヵ月以上に達した時は、無催告にて原契約(賃貸人と賃借人との間の賃貸借契約)を解除できるものとする」
    (イ)「①賃借人が賃料等の支払いを2ヵ月以上怠り、②保証会社が合理的な手段を尽くしても賃借人本人と連絡が取れない状況にあり、③電気・ガス・水道の利用状況や郵便物の状況等から建物を相当期間利用していないと認められ、④建物を再び占有使用しない賃借人の意思が客観的に看取できる事情が存在する場合には、賃借人が明示的に意義を述べない限り、保証会社が、建物の明け渡しがあったものとみなすことが出来る」という2つです。
    ちなみに消費者契約法10条は民法などの法令中の任意規定(特約が無い場合に適用される一般的な規定)による場合に比べて、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する条項であって、信義則に反して消費者の利益を一方的に害する条項は無効とする、と規定されています。一見するとこの無効とされた条項も一方的に害していると言えない気もしますが最高裁は具体的にどのような判断をされたのでしょうか。



    続きは次回・・・

    無効と判断された理由とは?

     Vol.2をお楽しみに






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